フクちゃん笑っていこうヨ

アルツハイマー型認知症の母を介護して

一人暮らしの恐怖

一人暮らしのお年寄りは、騙されて詐欺にあったり、家の玄関に変な印を付けられてターゲットになると聞いて、気にして見ていましたが特にそれらしい印はありませんでした。

 

それでも、怖い思いはしたようです。

 

ある時、二人組の男がやって来ました。「水質の検査です」と言って家に上がり込み、一人は1階へ、もう一人は2階へスタスタと上がるので、フクちゃんは慌てて2階へ一緒に上がりました。

洗面所の水を流しながら、色を見て「大丈夫そうだねー」2階の部屋には弟君の服が沢山ぶら下がっていました。それを見たのかも知れません。

そのまま、二人組は帰って行きました。

1階の部屋にいた男は何をしていたのか、何かを取られたとしてもフクちゃんは気がつかないみたいです。

名刺もチラシや書類もなく、誰だったのでしょう。

 

フクちゃんはとても気味が悪いと言っていました。

 

その後しばらくして、二人組の窃盗団が捕まったらしい、という情報がフクちゃんの耳に入ります。あの二人だ!

 

本当かどうかは分かりません。

 

他にも、営業マンらしき男が家に上がり込み、一時間もしゃべって何かを説明していましたが、耳の遠いフクちゃんは何だかサッパリ分かりません。

息子が帰ってきたら聞いてみます。と言って帰ってもらいました。

 

本当に命を取られなくて良かったです。

 

それからは、近くの交番に見回りをお願いしました。来たときは、ポストに見回りに来たメモが入っていて安心できます。

 

玄関には、知らない人が来たらドアを開けない事! という貼り紙をしました。

 

画像付きインターフォンはついていますが、フクちゃんは使いこなせていません。残念!!

 

孫達との小旅行

望郷の念の強いフクちゃんは、毎年故郷に帰るという希望を持っていました。そして、孫達に自分のふるさとを見せたいとずっと思っていました。

しかし遠いので、なかなか実現出来ていませんでした。

 

認知症になり、先延ばしにするとフクちゃんの夢を実現することが出来なくなると思います。フクちゃんの体が動かせる、コミュニケーションがとれる今、思い切って計画を立てることにしました。

 

孫3人と、フクちゃん、torakoの5人旅です。

 

1週間前にフクちゃんの荷作りをしておき、前日に孫がフクちゃん宅に泊まり、一緒に空港へ行き、torakoたちと合流します。

 

空港内は広いので、車椅子を借りました。水分補給とトイレは早めに連れて行きます。

 

飛行機に乗って、いざ出発です。

 

フクちゃんにとっても数年ぶりの帰郷です。

実家に到着したフクちゃん、疲れも見せずご機嫌です。

久しぶりに親戚一同が集まって大宴会、孫達も初めて出会うはとこ達と意気投合、観光したり、幼なじみと会ったり、墓参り、思い出の場所に出かけたり、あっと言う間に時が過ぎて、名残惜しく帰路につきました。

 

注意したのは、時間に余裕を持って、疲れ具合に気を付ける事です。そして、帰宅して翌日のフクちゃんの様子を確認してから、torakoは旅終了となります。

 

やっと叶えられたフクちゃんの夢、いつまで覚えていてくれるのかな。

認知症診断を受ける少し前。

みんながフクちゃんの様子に、認知症の疑いを持ち始めた頃、どんな状態だったのか、思い出してみます。

 

元々、散歩のついでに買い物をして、孫の好きなお菓子や果物をtorakoの家に届けることを楽しみにしていました。段々とその量が増えていき、torakoの家のストックが溢れていきます。勿論フクちゃんの家もストックだらけです。

 

父との関係は良好とはいえなかったようですが、少しずつ、その怒りがエスカレートしていき、torakoの家に泣きながら電話を掛けてくるようになりました。感情のコントロールが難しくなるのでしょうか。

 

父の話によると、いつも家の中で財布や鍵など、捜し物をしているそうです。物を置く決まった場所に置けない、ということなのかな。

 

先週話したことを忘れたり、近頃馬鹿になったと自分の頭を叩いたり、判断力が落ちて自信がなくなり、torakoに助言を求めるようになりました。

 

何でもメモをして、テーブルの上に置いてあります。外出する時は、行き先や帰り道に迷う不安があるため住所録を持っていきます。

 

何でもテキパキと出来ていたフクちゃんですが、この頃は、自分でも何かおかしいと感じていたのかもしれません。

 

何で認知症になったの?

アルツハイマー認知症の原因は、まだハッキリとわかっていないようです。

いつか私も認知症になるのかなと思うと原因を知りたくなります。

兄弟で認知症はいなかったし、認知症にならないために、ということも何気なくやっていたみたいです。

 

◎タンパク質のβアミロイドが脳内にたまってアルツハイマー認知症になるらしいです。これって体質?自分では判りませんね。

◎手先を使う。

 和裁をしたり、絵を書いたり、手先は器用でした。毎日料理もしています。

◎運動をする。

 若いときから運動好きで、大会で良い結果を出すためにストイックに練習に励むタイプです。毎日一時間の散歩、自転車で隣町まで出掛けたり、ジッとしていることがない、アクティブな生活をしていました。

◎対人関係

 社交的でいつも沢山の人と接していました。ひとりで何処にでも行き、誰とでも話が出来るタイプです。

◎頭を使う。

 新聞を毎日読んでいます。家計簿をつけて、チラシの価格は頭に入っていました。計算は得意でした。外出すると、その場所の行き方や良かった点を絵付きでノートに記録していました。

◎魚(特に青魚)が好きで、毎日鯖、アジ、鰹、鮭などを食べていました。

◎いつの頃からか聴力が衰えて声が大きくなっていました。後に補聴器を使用しました。

コレステロールの薬を永年飲んでいました。脳はコレステロールで出来ているそうですが、減ってしまったのかな。

歯槽膿漏になって歯が抜けていました。これも原因の一つと言われ始めましたね。

◎大腿骨の骨折も原因の一つだそうですが、フクちゃんは足の小指を骨折しました。関係ないかな。

◎ストレス

 何でも完璧主義で負けず嫌い、人に愚痴をこぼすことが出来ないのでストレスの発散は下手だったのかしら。お酒は飲んでいました。

 

認知症にならないために、とよく言われているこれらのことは普通にクリアしていたような気がします。

 

結局、何で認知症になったのかな。よくわかりません。

認知症の進行を遅らせるために(心理編)

脳を鍛えるだけではなく、心にも刺激を与える方が良いのかな。うれしいことや楽しいことは心の栄養ですよね。

 

◎孫のmaagoがフクちゃんの足の爪にペディキュアをする。

 マニキュアを塗ったことのないフクちゃんですが、足なら靴下で隠せるので、塗っても良いと言うので、カラフルにペイントしてあげると、恥ずかしがりながらもテンションMAXです。

 デイサービスに行って、皆に見せびらかして、褒めてもらって、暫くはご機嫌な日が続きました。

 

◎一緒にお出かけする。

 一人で何処へでも出かけていくフクちゃんですが、なじみのない場所や、注文をする等、一人では自信がなくて行けない所へ一緒にお出かけします。

 観劇、美術館、お花見、ショッピング、外食などです。

 弟君がサッカー観戦に連れて行ってくれました。

 スポーツ観戦はもっぱらTV、サッカーのルールもよくわからないのですが、大きなスタジアムでその雰囲気に圧倒され、チームウエアを着せられて、食べるものも初めての味、周りの人達の興奮が伝わり、フクちゃんも大盛り上がりで楽しんできました。

また行きたい!と大喜びでした。

 

ひとりの時間、自分のことを考えると不安で押しつぶされそうになるフクちゃん。でも、そんな気持ちを一瞬でも吹き飛ばそう!沢山笑っていこうヨ!

認知症の進行を遅らせるために(学習編)

脳を鍛えるための本がたくさん出回っています。フクちゃんにも色々と試してみました。

 

◎絵を書く(模写)事が好きだったフクちゃんに、色々な塗り絵本を買ってみました。 

 細かすぎて疲れると言ってあまりやりませんでした。たぶん、お手本通りに出来ないと許せない性格が邪魔していると思われます。そこで、孫のmaagoが塗り絵や迷路図を手作りすると喜んで取りかかります。楽しそうです。

パソコンでのお絵かきも挑戦しましたが、これはちょっと難しかったようです。

◎計算ドリルは得意なのでスラスラとやっています。

◎漢字ドリルは読めるけれど、最近文字を書いていないので書けなくなっていて面白くない様子です。

◎耳が遠くなってきて、大好きなカラオケも上手に歌えなくなっていたフクちゃん。ラジカセの音を大きくして聞こえるようにすると歌えます。更に聴力が悪くなってきたら、ヘッドホンで音を聞くと歌えます。声を出す事はとても大切です。声帯の衰えも防げます。

◎集中力を高めるために、磁石で組み立てるおもちゃをやってみると、可愛いキャラクターも気に入り、毎回違う形になるのも楽しくて何度もやっています。

◎ひとりでできるトランプ遊びを教えると、毎日暇つぶしに繰り返しやっています。頭と手を使います。

 

脳を鍛えることは、工夫次第で色々と出来そうです。

認知症の進行を遅らせるために(生活編)

確実に進行していく認知症の症状を遅らせるために、アリセプトという薬は処方されています。けれども、それだけでは不安なので、色々と試してみました。

 

◎本人の出来ることを続ける。

 毎日の食事作り。IHコンロに変えたことで、使い方をマスター出来ずに上手に料理が出来なくなったことも有りますが、自分の好きな食事(味噌汁、焼き魚、卵焼き、サラダなど)を作り、米を計量してご飯を炊く。

◎散歩と近所での買い物。

 毎日一時間の散歩は、行く先々で顔見知りも出来て皆さんに見守って頂いているようです。買い物は、長年の節約生活が身についていて、割高な少量パックが買えません。徳用サイズを買って賞味期限切れになります。

◎友達との昼カラオケ

 何年も続く友人たちとの昼カラオケ。認知症になったことで離れていく友人、会話をしてくれなくなった友人に、フクちゃんはとてもショックを受けて悲しそうです。でも、おいでよ、と言ってくださる方もいるので、通い続けます。

◎ほぼ毎週torakoの家に通う。

 電車を二回乗り換えて2時間以上かけて、お菓子や果物など重たい荷物を抱えて通います。認知症でも続けていれば出来てしまう。進行していけば、もちろんトラブルも有ります。行き先の違う電車に乗った時は、人に聞いて正しい電車に乗り換えることが出来ました。急行ではなく各駅列車に乗り、時間が掛かりすぎると車内でパニックになったときは、見知らぬ方に助けて頂きました。

 本当に有難うございました。

 

皆様に助けて頂きながら、それでも、出来ることが本当に出来なくなる時まで、やり続けさせてあげたいと思います。